新しい孔内載荷試験の考え方

孔内載荷試験の概要
- ボーリング孔内において地盤の強度・変形特性を求める試験
- 従来の分類（載荷方式による分類）
  - 等圧分布載荷方式・・・・・・・・・・・・・・LLT、Elastmeter等
  - 等変位載荷方式・・・・・・・・・・・・・・・・GoodmanJack、KKT等
- 新しい分類
  - 試験原理が全く異なる等圧分布載荷方式と等変位載荷方式を同じ基準で扱うのは、国際的にも我が国だけです(地盤工学会基準案)。
  - 従来の孔内載荷試験の内、等圧分布載荷方式をプレッシャーメータ試験と呼びます。
- 等圧分布載荷方式の孔内載荷試験（プレッシャーメータ試験）
  - 等圧分布載荷では半径方向に圧縮力が、接線方向には引張応力が作用します。
  - この試験は圧縮させているのではなく、せん断させているのです。
  - 等圧分布載荷方式の孔内載荷試験はせん断試験なのです。

孔内載荷試験の目的
- 地盤の弾性係数（Ｅ）を把握すること。
- 弾性係数のひずみ依存性を把握すること。
- 地盤のせん断強さ（ｃ、φ）を把握すること。

新しい孔内載荷試験方法
- 孔内載荷試験結果の利用方法、間違っていませんか？
  - 変形係数を使っていませんか？
    - 変形係数は一般に孔壁の乱れの影響を強く受けており実際の地盤の弾性係数よりも小さくなることが多数報告されています。
    - 掘進後直ぐに実施した場合と、コアチューブを何回か上げ下ろしをした後で実施した場合とでは値が変わってしまいます。
    - 送水掘りか無水掘りかでも変わります。
    - 第３回プレッシャーメータ国際会議においても　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「初期勾配から求めた変形係数は孔壁の乱れに著しく影響された値であり、その値を地盤の変形係数として直接使用するべきではなく、特に過圧密地盤においてその問題が大きい。繰り返し載荷の測定を標準的な試験法として実施すべきである(Mair他1987)」　と述べています。
  - 弾性係数にはひずみ依存性があります。
    - 弾性係数の値は地山内に生じたひずみの大きさにより変化します。
    - 変形係数を算出しているひずみレベルは概ね10^-2レベルです。
    - 実際の施工現場で生じるひずみは10^-3～10^-4レベルです。
    - 変形係数は過小な値となり易く、ＦＥＭ解析を行うときには注意が必要です。
- ひずみ依存性を求めるための載荷方法（QTechライブラリー№6 参照）
  - 繰り返し載荷の目的はひずみ依存性を求めることです。
    - 従来は圧力制御で繰り返し載荷を行っていました。
    - 繰り返し載荷の結果はあまり使い道がありませんでした。
  - 新しい繰り返し載荷はひずみ制御で行います。
    - 小ひずみの繰り返しから、順次ひずみを大きくして繰り返し載荷を行います。
    - ３～４回の繰り返しが理想的です。
    - １回目の繰り返し幅は、変位量で5/100mm程度にして下さい。
    - 最終回の繰り返し幅の目安は以下のとおりです。
      - CL級岩盤　　15/100mm
      - DH級岩盤　　30/100mm
      - DM級岩盤　　40/100mm
      - DL級岩盤　　50/100mm
      - 土　　砂　　60/100mm
    - ２回目以降の繰り返し幅は最終回の繰り返し幅を考慮して按分します。
  - 解析事例①
- せん断強さを求めるための載荷方法
  - 孔内載荷試験の荷重強度～変位曲線を使用し地盤のせん断強度(ｃ、φ)を直接的に求めることができます。
  - ｃ、φの解析には降伏後の曲線を使用します。降伏後すぐに試験を止めないで下さい。　降伏後が大事なのです。
  - 試験実施上のコツ
    - データは多いほど解が安定します。
    - データの記録を２秒毎に設定して下さい。
    - ポンプのリターンバルブを軽く閉める（除荷をスムーズにするため）。
    - 変位量とひずみの関係を整理しておく。
    - 失敗を積み重ねる。
  - 載荷にはちょっとしたコツが要ります。最初は現地指導を致します。
  - 突然データをいただいても解析不能な場合が多いです。事前にご相談下さい。
  - 解析事例②